連載「12か月のフラワーリース」 世田谷区にアトリエを構える「宙花(そらはな)」のフローリスト戸部秀介さんが作る、季節のフラワーリースを毎月紹介します。空間を華やかに彩ってくれるフラワーリースと共に、花のある暮らしを始めましょう。
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2月のリース「ミモザのリース」

アウトラインをきれいな円形に整えたミモザのリースです。使っているのはパールアカシアの花と葉。右下に葉を多めに入れ、アクセントにしました。木のつるで編んだリースベース(約20cm)を利用。
戸部秀介/Shusuke Tobe35歳の時にフローリストへと転身。大手生花店、フランス人フラワーデザイナーの店で経験を積み、2016年に東京都世田谷区の中町に「宙花〜sora hana~」をオープン。リースを得意とし、ワークショップにも力を注ぐ。インスタグラム@sorahana.jp
輝くような黄色に春の到来を感じて
ミモザが庭で咲くのは意外に早く、温暖地では2月下旬〜3月上旬に開花します。ミモザというのは銀葉アカシアや房アカシアなど、アカシアの仲間の黄色の花を総称したフランスやイギリスでの呼び名です。
切り花は、1月下旬から2月にかけて出回ります。ミモザのリースはとても人気がありますが、輝くような黄色の花を見ると、誰もが春が近づいていることを感じ、心が躍るのだと思います。リースにしてそのまま飾れる花材には、これほど鮮やかな黄色は他にないので、この時期にはまぶしさを感じながら、ミモザのリース制作を楽しんでいます。
じつはミモザといってもさまざまな種類があります。よく知られているのは葉がシルバーグリーンの銀葉アカシアです。葉色が明るい‘オーレア’や丸葉のパールアカシア、さらに金葉アカシアなども出回ります。私がよく利用するのは輸入ものの‘ミランドール’で、花が大きいのが特徴です。
1種類だけで制作することもありますが、花は‘ミランドール’、葉は明るい‘オーレア’など、複数の種類を組み合わせて使うこともあり、それぞれの特徴を生かすとより思い描くリースに近い仕上がりになります。今回は7種類のリースをご紹介しますが、花や葉の種類の選び方で印象が変わる点にもご注目ください。
銀葉アカシアのリースです。銀葉アカシアは花房のつく枝が横に広がるため、円形のアウトラインから先端が飛び出します。きれいな円形にはなりませんが、花房の飛び出しに勢いが感じられ、躍動感のあるリースになります。木のつるで編んだリースベース(約20cm)を利用。

‘ミランドール’の花と、‘オーレア’の明るい葉を組み合わせたリースです。全体を軽やかに仕上げたいときには、明るい葉色を使うのが効果的。‘オーレア’の葉の繊細でやわらかな印象が、リースを優しげな雰囲気にしてくれます。木のつるで編んだリースベース(約20cm)を利用。

ミモザのリースで人気が高いのが、黄色の花だけを利用したデザインです。これは花が大きな‘ミランドール’のみで作ったリース。輝く黄色をより強く印象づけます。花はそのままドライにすると、色は褪せるものの小さなボール状になって残ります。木のつるで編んだリースベース(約20cm)を利用。

花は‘ミランドール’、葉はパールアカシアと‘オーレア’と、3種類のアカシアを使ったリースです。葉の形が異なり、より繊細で表情豊かな仕上がりになります。木のつるで編んだリースベース(約20cm)を利用。

花も葉も金色!金葉アカシアだけで作ったリースは、軽やかながら、大人っぽい雰囲気が楽しめます。金葉アカシアは出回り量が少ないので、ご存じない方も多く、新鮮な印象かもしれません。木のつるで編んだリースベース(約20cm)を利用。

左側は‘ミランドール’、右側にユーカリ‘ミルフルール’と白のスターチスと、パート分けしたデザインのリースです。明るい黄色とユーカリのシックな葉色。その対比もまたおもしろいのではないかと思います。このリースも意外に人気が高いんですよ。木のつるで編んだリースベース(約20cm)を利用。