〔特集〕柑橘王国ニッポン。注目品種とともに「フレッシュ！ 柑橘レシピ」 さまざまなフルーツにおいて、多種多様なブランド品種が増えるなか、とりわけ柑橘にもその傾向が目立つように感じます。晩夏から晩春にかけて、登場する品種がリレーのように変化し、飽きることなく楽しませてくれる柑橘たち。春に登場する注目品種の楽しみ方を、レシピとともにご紹介します。
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料理家・宮澤奈々さんの
マーマレード研究室
宮澤奈々さん（みやざわ・なな）少人数会員制料理サロン「c’est trèsbon（セ・トレ・ボン）」主宰。洗練されたセンスが光る料理やコーディネートは多くの人々を魅了している。著書に『素敵なおもてなしのプレゼンテーション』（世界文化社刊）など。
ペクチン液を作って失敗知らず
マーマレードの黄金比率
料理家・宮澤奈々さんのキッチンに届いた、広島 の大崎上島「花の里・二郎さん農園」のおおたち ばな、レモン、シークヮーサー。ほか、沼津の夏 みかんやきんかん、三重のブラッドオレンジ。全国各地から多彩な柑橘が集まった。
オレンジと砂糖があれば、マーマレードなんて簡単、そう思っていませんか？ 「マーマレード作りにおいて大切なのは、ペクチンを知ることです」と宮澤奈々さんはきっぱり。
マーマレードコンテストで入賞を果たすほどの柑橘名人だったお母様・智恵子さん（左）と宮澤さん。
オレンジやライムなどに含まれる食物繊維の一種で、糖類や酸と合わせて加熱するとゼリー状に固まる特性を持つ“ペクチン”。
「オレンジが持っているすべてのペクチンを無駄にしないよう、薄皮や種も入れた“ペクチン液作り”がポイントです。程よくぷるぷるしたでき上がりを目指し、試行錯誤の末にペクチン液や砂糖の黄金比率も割り出しました。本煮の際に加熱しすぎると、ペクチンが固まらなくなるので要注意。煮すぎると果物の風味も飛んでしまいますから、短時間で仕上げる心づもりも大事です」。
柑橘の種類を変えたり、スパイスやハーブを加えたり。ご自慢の手作りを持ち寄って、春のマーマレードパーティはいかが。
【材料】
・オレンジ（無農薬のものが望ましい）
・砂糖
【準備】
（1）オレンジを皮と果汁に分ける。オレンジをカットして、果汁を絞る。薄皮を取り、わたをくり抜き、種を取り出す。皮は包丁で刻む。
（2）果汁、皮、薄皮とわたと種をそれぞれ計量する。
（3）果汁＋皮の合計と同じ重さの砂糖を用意する。
果汁＋皮：砂糖＝1：1 【作り方】
（4）ペクチン液を作る。薄皮＋わた＋種の分量×5がペクチン液を仕込む際の水の分量（A）となる。鍋に（A）の水、ガーゼなどに包んだ薄皮とわたと種、皮を入れ、中火にかける。沸騰したら、弱火にしてふたをする。30～40分したら火を止め、ガーゼと皮を取り出す。ペクチン液の完成。＊ペクチン液は冷凍で保存可能。
（5）本煮をする。果汁と同量のペクチン液を用意する。果汁：ペクチン液＝1：1鍋に（2）の果汁、（4）のペクチン液と皮を入れて火にかけ、沸騰したら（3）の砂糖を3回に分けて加える。その都度あくは取り除く。透明感が出てきて、色がやや薄茶色になり、混ぜる木べらにまとわりつくようになったらでき上がり。火にかけてから約25分が目安。
【瓶に詰める】
（6）熱湯消毒をする。マーマレードを詰める際に使用する道具をすべて消毒する。瓶、トング、じょうご、シリコンのスパチュラを湯気の立った蒸し器に入れ、そのまま20分加熱する。瓶は口を下向きにして蒸し器に入れること。
（7）瓶に詰める。消毒した瓶に、でき上がったマーマレードが熱いうちに、9分目まで詰める。詰めたら、軽くふたをした状態で湯気の立った蒸し器に入れ、20分加熱する。熱いうちにふたを一瞬開けて空気を逃がしたら、ふたをきゅっと締める。
自由自在にアレンジマーマレード
“黄金比率”のマーマレードレシピは、オレンジ以外の柑橘でも応用可能。皮の苦みが気になるようだったら、本煮の前にしっかりゆでこぼして。ピンクペッパーなど優しい香りのスパイスや香り付けのリキュール類は仕上げに加えるのがポイントです。
●はっさくとシークヮーサー、しょうがのマーマレード
さっぱりとしたシークヮーサーとさわやかなしょうがをともに煮込み、はっさくの苦みを軽やかに楽しむ仕立てに。
●おおたちばなのマーマレード
広島の大崎上島から届いた、おおたちばな。上品な味わいをストレートに味わえるよう、砂糖のみで仕上げた。
●2色のマーマレード
ブラッドオレンジのコンフィチュール、みかん酢のスパイスコンフィチュールを重ねたアレンジ版。そのまま食べて美味。
（次回へ続く。
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