2010年の舞台『ヘンリー六世』で第18回 読売演劇大賞優秀男優賞を受賞。50代を代表する実力派俳優の一人だ。――演出家は、ドラマ『TRICK』や『SPEC』シリーズなどで日本の映像界に新たな地平を拓いた堤幸彦さん。マキノさんとは舞台『真田十勇士』でもタッグを組まれているだけに、絶大な信頼があるのでしょうね。
「その信頼があったうえでの脚本構成で、マキノさんにも色々な算段はおありなのだろうと考えながら読ませていただきました。淀の方を登場させるなど、原作にはないオリジナルのエピソードは盛り込まれていますが、物語として全体的にかなり原作に敬意を払ったつくりになっていると思います。ただ、それにしても、ぶっ飛んだ脚本であることは間違いないです(笑)」
――堤さんの演出はどうなりそうですか?
「プロジェクションマッピングにフライング……堤さんご自身が“現時点で活用し得る技術を全て駆使して『魔界転生』の世界を表現し、誰も観たことのないような舞台をつくる”とおっしゃっていた通りのことが、繰り広げられることになりそうです。ただ、それはもちろん、出演者の僕らも観たことがないものなので(笑)、正直、どこまで未曽有の舞台がつくり上げられるのか、想像の域を出ないところはありますけれど。堤さんの中にある、ある種確信めいたものを信じて、身を委ねたいと思います」
――色々な初体験ができそうですね。
「魔界転生して魔物に姿を変えていく皆さんは、きっとそれを体現されていくと思います。ただ、僕が演じる十兵衛は、あくまでも人間として立ち向かっていくキャラクターなので、お客さんと同じ地平でそれを目の当たりにしていくことになるのだと思っています。脚本でも“確かに血の通った人なのだ”と感じさせる言動が多々ある人物像になっていて、原作で描かれている十兵衛の人間味は生かされています」