アニメ『天元突破グレンラガン』『劇場版 NARUTO-ナルト-ブラッド・プリズン』『かぐや姫の物語』『ファインディング・ドリー』『ジオストーム』などで声優も務めている。――その十兵衛の父・柳生宗矩を演じるのは、数々の時代劇で活躍してきた松平 健さん。今回が初共演だそうですね。
「はい。製作発表会見でお会いして、よろしくお願いしますとご挨拶申し上げた際に、その重厚な存在感を改めて実感しました。松平さんは、この作品におけるまさに要石。父でありながら悪鬼と化す松平さんの宗矩と、きちんと対峙できるのかという不安もありますが、楽しみのほうが大きいです。立ち回り率がなかなか高い舞台だけに、僕も若い方達も松平さんの技術や所作、立ち居振る舞いを目の当たりにできるのは実にありがたく、素晴らしいことだと感じています」
――天草四郎役は溝端淳平さん。今春、堤さんやマキノさんと一緒に島原を訪れ、ちょうど没後380年目の命日に四郎の墓前で手を合わせたと聞いています。
「そこでしか味わえない感慨が得られたのだろうと思います。その直後に、原城跡(島原の乱の舞台)ほか潜伏キリシタン史跡が世界文化遺産に認定されて、色々なタイミングが重なっていると感じます。この作品には、それだけ何かを手繰り寄せてしまう力があるのかもしれない。僕にとっても、まさか自分が携われるとは思っていませんでしたから、降って湧いたような巡り合わせでした」
――それだけ山田風太郎の『魔界転生』や十兵衛に思い入れがあるということでしょうか。
「柳生十兵衛という役は、以前、テレビの時代劇でやらせていただいたことがあるんですが、山田さんの作品の十兵衛には、また違う思い入れがあり、何とも言えない感慨があります。山田さんの作品を貪るように読んでいた頃に出合った『魔界転生』は、若かった僕が十兵衛に魅せられた“十兵衛三部作”の一つです。もちろん千葉真一さんが十兵衛を演じた深作欣二監督の映画も拝見しています。それだけに並々ならぬハードルの高さも感じていますが、それぞれに敬意を払いながら、精一杯やらせていただきます」