日本にも少数ではありますが、思わずここまでやりますかといいたくなるような作り手が登場しています。彼らは、将来、交換価値を持ち得るジュエリーを今作っていると思います。日本人の感性を生かした新しい作り手の作品にも注目してください(山口 遼)。
(
前回の記事はこちらから。)
注目のジャパン・デザイン(1)
龝原かおるさん
龝原かおる(あきはら・かおる)芦屋の山頂にある工房「ギメル」を主宰。海外で人気が先行したが、最近では日本でも最もユニークなジュエリーを作り出す人として熱狂的なファンが多い。世界が認める妥協のない精巧な輝き
ギメルのジュエリーには、龝原さんの熱い思いが込められています。ほとんどが、自ら集めた宝石を使い、自身でデザインしたものです。
そのこだわり、厳密さは、業者泣かせで知られますが、誰一人つきあいをやめることはありません。業者が惚れ込むデザイナーなのです。
ジュエリーの多くは、大きな宝石に依存するデザインではなく、小さな宝石を敷石のように密集させて埋め込むパヴェという技術を多用したもので、その精度は世界屈指のものです。
ギメルの看板ともいうべき花のコーサージュ・ブローチ。縦20センチ近くあります。水彩画のような宝石のグラデーションで花の繊細な色味と立体感を表現。葉の上には朝露、裏には可愛い蜘蛛が隠れます。日本人ならではの感性が光る作品。(参考商品)/ギメル(ギメルトレーディング)裏に隠れている可愛い蜘蛛なんとゴルフ場のグリーンを宝石で描いたブローチ。ガーネットのグリーンとダイヤモンドのバンカーのパヴェ・セッティングが見事。裏を覗けば真珠でできたゴルフボールがカップインしています。遊び心満点の作りです。550万円/ギメル(ギメルトレーディング)