病歴があっても百寿者になれる。では、何が違うのか?
年を取るとヒトの体は老化の影響をいろいろ受けます。まず動脈硬化や糖尿病、認知症、肥満などの発症に関与するといわれる慢性炎症が起こります。
さらに体内に細菌やウイルスが侵入したとき、がん細胞が発生したときなどに攻撃する免疫細胞の反応も悪くなります。
そして、さまざまな臓器の機能が低下するフレイル(虚弱状態)にもなります。百寿者はこうした老化によるダメージが少なく、動脈硬化症、糖尿病、認知症、がん、心筋梗塞などにかかりにくいことがわかっています。
一方、性格面では男性は開放性が高く、新しいことを受け入れるのが上手で、女性は意志が強くて几帳面であることも判明しています。
健康管理の面からこうした性格を促えてみると、女性の場合、医師からの指示をよく守り、食事や運動などに真面目に取り組んでいることが生活習慣病などの病気にかかっても長生きすることにつながっていると考えられます。
百寿者の病歴
百寿者は糖尿病とがんにかかりにくい
表の数値はすべて%(パーセンテージ)です。
参考文献/Takayama M,.Journal of gerontology A Biol Sci Med Sci2007;62:774-782,百寿者の身体的・性格的特徴
百寿者は神経質で几帳面な一面も
身体的特徴●栄養状態が低下
●糖尿病が少ない
●コレステロールが低い
●炎症反応亢進
●貧血傾向
●動脈硬化が少ない
●血栓ができやすい
性格的特徴●
神経症:不安の強さ、細かいことに気がつく
●
外向性:社交的、活動的、派手好き
●
開放性:創造的、好奇心が旺盛
●
調和性:思いやりがある、周りに合わせる、依存心が強い
●
誠実性:意志が強い、几帳面、頑固
資料提供/慶應義塾大学医学部 百寿総合研究センター 〔特集〕人生百年時代を迎えて“生きる”を問う「幸福寿命」
撮影/八田政玄 本誌・西山 航(静物) 切り絵制作/菅野一剛〈nekonekodesign PAPER ARTS〉 取材・文/渡辺千鶴 撮影協力/ホテルニューオータニ博多
「家庭画報」2019年5月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。