どの曲も完璧につかみ、氷上を変幻自在に滑ることから、ステファンはよく「氷上のプリンシパル」ともいわれますが、プログラムごとに違う姿を見せてくれるのには、本当に感嘆させられます。写真/YUTAKA/アフロスポーツステファン・ランビエル
「シューベルト 即興曲#4」
氷上の魔術師は今回も健在でした。思うがままに緩急をつけて、時にダイナミックに、時に繊細にシューベルトの世界へ誘ってくれるそのスケーティングの、なんと心地よいことでしょう。
キレのある美しいスピン、しなやかに着氷するジャンプ。現役を引退してからはや8年になりますが、崇高な演技は深みを増すばかりです。後半にはToshlが歌う尾崎 豊の「I Love You」に合わせ、情感たっぷりの滑りを披露。前半とはまたひと味違う多彩な表現力で、会場を魅了していました。
ステファンは、ラトビアのデニス・ヴァシリエフス選手のコーチとして知られていますが、昨シーズンからは島田高志郎選手のコーチにも就任。彼の芸術性が、島田選手のどんな一面を引き出してくれるのか、ワクワクしますね。
現役界において既にレジェンド的存在になっている羽生選手にとっても、現役引退後も深化し続ける先達スケーターの姿を目の当たりにできるのはたまらなく刺激になるはず。また来年も、羽生選手が座長の「ファンタジー・オン・アイス」でステファンに会えることを楽しみにしています。