豪華メンバーが揃った「ファンタジー・オン・アイス」。会場の大歓声にスケーターたちも満足そうでした。左から、ジェフリー・バトルさん、ハビエル・フェルナンデスさん、羽生結弦選手、ルカ・ラノッテ選手。写真/YUTAKA/アフロスポーツ羽生結弦
「マスカレイド」Toshl
そして、後半に入り、紀平梨花選手が新しいSP(ショートプログラム)である「Breakfast in Baghdad」を初めて滑ったり、荒川静香さんが「夕顔〜源氏物語」を幽玄に舞うなど、会場の熱量がますます上がっていく中、フィナーレ前のラストに登場したのが、お待ちかねの座長・羽生結弦選手。
情感込めて歌い上げるToshlに呼応して、赤と黒の華麗な衣装を身に纏い、トリプルアクセル、イナバウアーと見せどころを優雅にしなやかに決めていきます。
その都度、湧き上がる大歓声! 超満員の会場から送られる声援に後押しされたのか、ファイナルでは4回転ルッツに挑戦する羽生選手を見ることができました。
4回転ルッツは、2017年11月に行われたNHK杯の直前練習で右足首の怪我を負う原因となったジャンプ。初日公演のファイナルで2度チャレンジするも、1度目はほどけて1回転に、2度目は転倒という結果に、悔しそうな表情を浮かべた羽生選手でしたが、ここでトライできるまで回復しているのはなによりです! 躍動感あふれるスケーティングで鮮烈な復活を飾り、2019/20シーズンへの期待を抱かせてくれました。
このほかにも、久しぶりに表舞台へ登場してくれたジェフリー・バトルさんや、フィギュアスケートへの深い愛がパフォーマンスから伝わってくるジョニー・ウィアさん、氷上の美しい舞に会場からため息があふれた、アイスダンスのアンナ・カッペリーニ&ルカ・ラノッテ選手(通称カペラノ)、抜群の安定感を誇る織田信成さんなど、心に残る演技が数多くありました。
力量の高いスケーターたちによる化学反応で、上質なエンターテイメントを楽しめた「ファンタジー・オン・アイス」の最後を締めくくったのは、今回も、観客の皆さんへ向けた羽生選手の「ありがとうございました!」。
宮城公演はちょうど終わったところですが、このあと行われる神戸、富山でも、どんなパフォーマンスを見せてくれるのか、期待大ですね。
小松庸子/Yoko Komatsu
フリー編集者・ライター
世界文化社在籍時は「家庭画報」読み物&特別テーマ班副編集長としてフィギュアスケート特集などを担当。フリー転身後もフィギュアスケートや将棋、俳優、体操などのジャンルで、人物アプローチの特集を企画、取材している。
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取材・文/小松庸子