アドバンテージのある今ががんばりどき
(c)Tokyo 2020
ミライトワ(左) ソメイティ(右)
ミライトワは東京2020オリンピックマスコットで、名前には「素晴らしい未来を永と遠わ に」という願いが込められています。ソメイティは東京2020パラリンピックマスコットで、語源は「ソメイヨシノ」と「so mighty(非常に力強い)」。松岡 勝手なイメージかもしれませんが、オリンピック・パラリンピックで作品が採用されるなんて、もう一生が保証されたようなものじゃないですか。
谷口 うーん、そういうことをいう人もいますが、僕はそんなふうには思っていないんです。
松岡 でも、仕事の依頼は増えたんじゃないですか。
谷口 はい。それは嬉しいことなんですが、依頼のなかには、「マスコットの作者」という冠しか見ていない人もいるので。そういう人とはあまりかかわらないほうがいいかなと思っています(笑)。
松岡 「冠しか」というのは、どういうところからわかるんですか。
谷口 会話のはしばしに感じの悪い言葉がはさまれるんですよ。「オリンピックまでは安泰ですね」とか「運がよかったですね」とか。仕事仲間は「彼は運で取ったんじゃない」と怒ってくれているそうですが。
僕自身、アドバンテージをもらっている今ががんばりどきだとわかっているので、仕事は精力的にしています。ここがゴールではなく、東京2020大会の後も、僕の人生は続いていきますから。
松岡 そのとおりですね。最後に、マスコットを選んだ小学生たちに何かメッセージはありますか。
谷口 今回投票してくれた小学生たちはたぶん、この先、オリンピック・パラリンピックのたびにミライトワとソメイティを思い出してくれると思うんですよね。彼らが20年後くらいに、僕に仕事を依頼してくれたらいいなぁと思いますね(笑)。
松岡 そうきましたか! 20年後もぜひアロハシャツに下駄で、みんなをワクワクさせるキャラクターをデザインしていてください。
修造エール
初めてお会いしたとき、僕は亮さんを「シンデレラおじさん」と命名したんです。20年間苦労してきて一躍時の人に、という印象だったので。
でも、今回、勘違いに気づきました。だって亮さん、「特に苦労したとは思っていません。ずっと幸せでした」とおっしゃるので。それで気づいたのですが、僕が勝手に思い込んでいただけで、王子さまと出会う前のシンデレラも不幸せではなかったのかもと。
昔、子どもたちと一緒に何度も観たアニメのなかで、シンデレラはつつましやかな姿で掃除をしているときも、ネズミたちと楽しそうにしていました。今回の取材で「ずっと幸せ」といって変わらない亮さんの心こそが、シンデレラなのだと気づかせていただきました。
松岡 修造 SHUZO MATSUOKA
1967年東京都生まれ。86年にプロテニス選手に。95年ウィンブルドンでベスト8入りを果たすなど世界で活躍。現在は日本テニス協会理事兼強化本部副本部長として、ジュニア選手の育成とテニス界の発展に尽力する一方、テレビ朝日『報道ステーション』、同『TOKYO応援宣言』、フジテレビ『くいしん坊!万才』などに出演中。近著に『弱さをさらけだす勇気』。
公式サイト>>撮影/鍋島徳恭 スタイリング/中原正登〈FOURTEEN〉(松岡さん) ヘア&メイク/大和田一美〈APREA〉(松岡さん) 取材・文/清水千佳子 撮影協力/東京2020オフィシャルショップ 台場店 グランドニッコー東京 台場