口悦
山形県の郷土料理「いも煮」をアレンジした「きのこ入り芋煮の小鍋仕立て」。白い湯気を上げて煮えたつ小鍋仕立ての料理は、寒い時期の定番。名料亭の味を一品料理で心おきなく
俳優の故・渡辺文雄さんの奥さま、純子さんが1962年に開業し、政財界御用達の料亭として名を馳せた「口悦」。黒塀に囲まれた敷地の中で、お座敷に対して「こしかけ」と呼ばれた割烹席とバーコーナーが、2017年末、閑静なエリアに移って復活しました。
割烹の入り口に掛けられた「こしかけ」という表札の字も中川一政画伯の筆。小津安二郎監督が「口が悦ぶように」という意味を込めて名づけ、中川一政画伯が看板を揮毫した往時の面影は、今も健在。一方、メニューには週替わりのアラカルトが増え、目移りするほど豊富なラインナップとなっています。
食事の最初に胃を温めてほしいと、昔から出されている「しじみ汁」丁寧に裏ごししたじゃがいもの口あたりがなめらかな「コロッケ」と、A5ランクの和牛ヒレ肉をミディアムレアに揚げた「牛ヒレビーフカツ」の盛り合わせ。接待などで懐石料理を食べ疲れたお客さまのために、コロッケなどの家庭的な料理を充実させていることも特徴の一つ。厳選した食材を丁寧に生かした料理は心安らぐ味わいで、女性同士のお客さまにも好評です。
人気の珍味3品は、左から「牛舌醬油漬け」「チーズ味噌漬け」「キャベツ辛子和え」。日本酒にもワインにも合う、シンプルな味わい。コースはお椀やお造りなど約10品から成る会席仕立てですが、お店のかたと相談しながら単品料理を組み込むことも可能。赤坂の名料亭の味と空気を楽しめる、とっておきの一軒です。
店内は、檜の一枚板を用いたカウンターが主体。テーブル席を含め27席。料亭時代に露地に用いていた敷石を移設したアプローチ。手前の手水鉢も昔から大切にされているもの。手前は“こしかけ”(割烹)、奥はバーとなっている。口悦(こうえつ)
東京都港区赤坂6-6-27 赤坂パークサイドビル
TEL:03(3585)0321
営業時間:17時~22時(LO)
土曜・日曜・祝日定休
コース1万5000円~、アラカルトも多数
要予約