3.日本文化の粋を極めた料亭へ。受け継がれた建築美と伝統の味にひたる
創業142年の「山荘 京大和」。以前の趣を残す庭には四季折々の花が咲き、新緑、深緑、紅葉も楽しめる。歴史ある茶室が並ぶ老舗料亭
モダンで洗練された空間がホテルとすれば、日本の伝統美を体感できるのが敷地内の東側に位置する料亭「山荘 京大和」です。
明治10(1877)年にこの地に創業し、耐震補修工事を経てホテルと同じ2019年10月に再開しました。建物の歴史はさらに古く、江戸時代に建てられた敷地内最古の茶室「送陽亭」(そうようてい)は京都市が指定する保護建造物。
幕末の各藩の武士たちが集って会議をしたという「翠紅館」(すいこうかん)や、茶婚式に使用していた茶室「胡蘆庵」(ころあん)も修復され、今後は客室としても利用できるようになりました。
江戸末期に桂小五郎らの各藩の志士たちが集い、会議が催された「翠紅館」の主座敷の広間。今回案内していただいた翠紅館の広間や紅葉の間は、建具にもしつらいの随所に美しいデザインや装飾が施された客室です。
広々とした床の間や、橋の欄干をあしらったユニークなデザインの書院を配した広間は、凛とした“真”(しん)の空間。一方、三大棚のひとつといわれる醍醐棚の写しや表情穏やかな松の一枚板を用いた床の間からなる紅葉の間は、瀟洒な“行”(ぎょう)の間。
軒続きの茶室「翠紅庵」、「胡蘆庵」もそれぞれ個性があり、再開を機に使えるようになった「送陽亭」からは八坂の塔や京都市街を一望できます。
二段弁当を主にした昼限定の「錦重ね」12000円(要予約)から、海老真丈の煮物椀。昼のコース18000円~、夜のコース27000円~(要予約)。お昼には美しい二段弁当も
伝統を受け継ぎながら時代に合わせ進化しているのは料理も同じ。
目にも美しく、盛りつけや味の取り合わせにもこまやかな配慮がされ、お昼にはお弁当「錦重ね」も用意されています。
先付、煮物椀、お造り、10数種類の口取りを盛り込んだお弁当に炊き込みご飯とフルーツが付く、ミニコースのような仕立てで、献立はすべて月替わりです。
先々代考案の二段重で供される焼き物、あえ物、炊き合わせなどの口取を盛り込んだお弁当。瓢の漆器の中は炊き込みご飯と香の物。