SP「秋によせて」より。「SPが終わった後で思ったのですが、スケートカナダがそこそこ良かったので、その点数を超えなければ!というプレッシャーのなかでやったんだなあと。身体もガチガチに固まっていました」と緊張を語った羽生選手。たまらなく緊張した公式練習と
NHK杯を楽しめたFS本番
それにしても。いつものことながら、目標設定への意識の高さには脱帽させられます。SP「秋によせて」で見せた、4回転トウループの着氷が少し窮屈になった姿勢からでも3回転トウループをつけた、羽生選手ならではの高難度なテクニック。こちらからすると「あっぱれ!」という演技で、自身が持つ世界最高記録に迫る109.34点を叩き出しましたが、演技終了後の第一声は、「まずはほっとしていますが、ジャンプ、後半のスピン、ステップももっと出来たことは多々あったと思います。練習してきたつもりではあったのですが、あ〜まだ練習足りないんだな、と思いました」。
このストイックさでフィギュアスケートに向き合う日々を過ごしているからこそ、次々と己の限界を超えて、史上初という記録を数多く打ち立ててきているのだと、改めて納得しました。
今回、羽生選手が自分に課したのが、フリースケーティング(FS)「Origin」における、冒頭の4回転ループと4回転サルコウをしっかり成功させることでした。いずれも加点のつく出来栄えで195.71点、合計305.05点。2位に50点以上もの大差をつけ、圧勝しました。「降りたと判定していただけた4回転ループは、2017年のヘルシンキでの世界選手権以来、初めて。しっかり片足で立てたし、ようやく1つ壁を越えられたかな」。
昨年11月のロシア杯FS公式練習でループを跳んだ際、転倒して右足首を捻り、GPファイナル、全日本選手権と欠場することになった記憶を完璧に塗り替えることができたのではないでしょうか。