実態がつかみづらいキャラクター・日浅という役の作り方は……
「今野とセリフのキャッチボールをしているときと、家族だったり同僚だったりが語る日浅という描かれ方もしているんですけど、そこでどういうふうに作っていくのか悩みましたね。いろんな人の目線から語られる人って、実態がつかみにくいし、ミステリアスにも描かれているので。でも、ミステリアスであるっていうことを自分自身が意識してしまうと、どうもおかしいなと思って。だから、今野との会話とか、キャッチボールをしていく中で作り上げていった部分が大きかったですね」
今野との会話は、台本に書かれたセリフだけにとどまりません。今野と日浅には、声こそ聞こえてこないものの、会話をしているシーンがいくつかあります。「セリフはないんですけど、(今野と)2人で楽しんでいる感じ」と松田さんが言う回想シーンもその一つ。
「日浅はこういう感じかなという可能性を、そういうシーンでどうにか広げたいなと。台本に書かれているセリフが終わったとしても、そのあとなかなか監督がカットをかけずに、2人の関係性というか、会話みたいなものを続けるような撮り方をけっこうしていましたね。そこは監督も楽しんで撮っていた印象があります」
大友監督は「一つひとつのシーンにイメージを膨らませていて、それに対して熱を持っていて。すごく楽しそうって思いました(笑)」。