そこにあるのは魂のぶつかり合い！ 映画『生きちゃった』主演・仲野太賀さん

クライマックスは、「（若葉さんと）お互いに、思い描いていた以上のものが出た、やり遂げたっていう感じはありました」と仲野さん。

涙と気持ちが溢れ出して人間らしい人間に戻る

「この映画は、人間回帰の物語だと僕は思っていて。厚久は、家族であっても、思いを伝えられなかったり、本心を明かせなかったり。でも、自分の夢を捨てて、家族のために働いて、彼としては誠実に、愛を持っていたわけですけど、いろいろな悲劇が起こって。その度に感情表現できなくて、自分の気持ちを押し殺して、すべて受け入れようとするって、すごく人間離れしていると思うんですよね。そういう男が（映画で描かれる）90分を経て、しっかり人間になる。それがあのシーンで。だから、そこではしっかり感情を表現することで溢れ出る人間味を、それまでは人間味のなさみたいなものを意識していましたね」

最後に読者の皆さんにメッセージをお願いすると、「明るい話じゃないからなぁ。なんておすすめしたらいいのか」と笑いながら、「観てほしいですね。たしかな愛はあるんだけど、どうしてもそれが伝えられない、そういう不器用な人たちの話です。形は違えど、純粋な愛をぶつけ合っていると思いますし、魂を揺さぶられる映画になっているので、ぜひ観てもらいたいです」と話してくれた仲野さんが、「生涯大切にしたい作品」という『生きちゃった』。圧巻の一作です。