不動心
三輪山・大神神社ご神体
「古来、大和には『三輪山が見ておられる』という言葉があり、三輪山はご神体であると同時に、常に我々を見守ってくださっています。離れていても見上げれば、そこに変わらずある、有り難く珍しい存在。神様という遠い存在を身近に感じることができます」と大神神社のご神職。
包容力があり、優しく、強い、この美しい円錐形を目に焼きつけて、何があってもぶれない、2021年のあるべき姿として心に刻んでください。
「国のまほろば」と称される景色が一望できる三輪山。古くは「三諸山(みもろやま)」と呼ばれ、『古事記』では「美和山」、『日本書紀』では「三輪山」と記されている。学者によると「三輪山」の表記は6世紀頃から。味酒(うまさけ) 三輪の山
あをによし
奈良の山の 山の際(ま)に
い隠るまで 道の隈(くま)
い積もるまでに つばらにも
見つつ行かむを しばしばも
見放(みさ)けむ山を 情(こころ)なく
雲の 隠さふべしや
―額田王(『万葉集』巻第一 雑歌・一七)
三輪山登拝を経て
小林朋子先生
秋晴れの日、念願の三輪山へ登拝。1時間ほどしてたどり着いた山頂は、温かく、なんとも心地よい場所に居させていただいている感覚でした。想像ですが、例えるなら赤ちゃんが母親のお腹にいる時の心地よさに通じるのではないでしょうか。
下山してから、ご神職のお話を伺う機会を得ましたが、そこで、日々目に見えないものに畏敬の念を持つ大切さについてお言葉をいただきました。
かつて、日本人が当たり前のように持っていた自然を慕い、そこに宿る目に見えないものを必要以上におそれず、敬う気持ちこそ、“自分の中の軸”となってくれるのだと改めて気づきました。
なかでも三輪山のような存在は、気持ちがぶれそうな時に、自分を元に戻してくれ、起点に返してくれるもの。実際に訪ねることができなくても、国土の中心に山々が峰を作り、山岳信仰を伝えてきた日本人の心の中には、軸となる山があるはずです。
〔特集〕2021年決定版 開運・招福術(全18回)
監修/小林朋子 取材・文/小倉理加
『家庭画報』2021年2月号 別冊付録「2021年決定版 開運・招福術」掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。