役柄によって、まったく違う顔を見せる実力派・染谷将太さんが今作で挑んだのは、仕事に悩み、家族への感情を持て余す麟太郎役。3年以上前に、正直で豊かな脚本に感動してオファーを快諾
父・日登志が亡くなり、その通夜の席で通夜振る舞いとして出された目玉焼き。それは父が初めて息子・麟太郎たちに作ってくれた料理で……。料理をきっかけに、蘇る家族の思い出。映画『最初の晩餐』は、父の死をきっかけに、止まっていた時間が再び動き出す家族の姿を描きます。
企画段階で本作への出演オファーを受けた麟太郎役の染谷将太さんは、「脚本を拝読させていただいたら、いわゆる家族ものなんですけれども、全然説教くさくなくて、正直なお話だなと思いました」。さらに、「とても豊かな脚本だなと素直に感動したんです」とも。そして、出演を決めた染谷さんですが、そこから約3年が経過。でも、その3年は、自身も常盤司郎監督も「ほかのこともやった3年間」で、その時間によって「すごく熟したというか、より豊かになった」といいます。
本作は、常盤監督が父親の思い出や幼い日の記憶などを手繰り寄せて紡いだ物語。麟太郎は常盤監督自身が反映された役といえます。それだけに、染谷さんは現場でずっと常盤監督のことを見て、「この方はどういう性格なんだろうって常に考えていました」。ただ、直接聞くことはしなかったとか。それは、「聞くとまとまった答えが返ってきて、そのままそれで演じてしまいそうな気がした」からで、「それでは乏しいと思ったんですよね」。