花を棚の中にきっちり納めず、ほんの少し棚の外にはみ出させた動きを感じるあしらいに。ランプの光に照らされて、花の姿が美しく映える。保水キャップは竹の間に隠れるようにして、竹の上下にそれぞれひと枝ずつ胡蝶蘭を挿した。上の写真は収納の左側に位置する棚。Tips2
青竹と光で演出する棚の花あしらい
正月花を活けるといっても、床の間や花台など、飾るためのスペースをわざわざ設える必要はありません。さりげなく、もっと気楽に。多美保さんは、空間の中にあるものを生かしながらデコレーションをほどこす名手です。今回はランプを置いている収納家具の左右の棚の中に飾りました。実はこの棚、照明の光を受けてドラマチックな陰影が演出できる場所でもあるのです。
活け方はとっても簡単。まず、棚の高さに合わせて切った3本の青竹の下をワイヤーで束ねて、ガラスベースに立てます。そこに、胡蝶蘭の枝を挟み込むように2枝を挿すだけ。上の枝は保水キャップに挿し込んでおきます。まっすぐに伸び上がる青竹とゴージャス感溢れる胡蝶蘭が相まって、晴れ晴れとした正月花が完成しました。
松とランだけを使ったシンプルなアレンジも、横に大胆に広がりを作ることで迫力あるあしらいに。Tips3
ダイニングテーブルには横長のアレンジを
ダイニングテーブルは、長寿の象徴とされる縁起の良い松を使ってダイナミックに卓上花をアレンジ。
「ダイニングテーブルのお花は、着席しても邪魔にならないような形に考えます。高さを抑えながら、テーブルランナーのように食卓の中央を横長に広がるようにしています」。
松の存在感に負けないようにと合わせた花は、大輪の白いカトレアと胡蝶蘭。銀彩で柄をつけたガラス製のフラワーベースは石のようにも見え、雄大な巌松の風景を思わせます。たった3種類だけでも、力強い個性を持つ花材を上手に取り合せ、広がりのある活け方をすることで、テーブルの主役となるアレンジになるのです。