豊かな自然に囲まれ、海、山、大地が育む多彩な食材に恵まれた宮城県には、各地域で丹誠込めて育てられた自慢のブランド食材があります。
上「鮑の煮込み 肝バターオイスターソース 宮城ササニシキリゾット添え」4時間蒸したやわらかなアワビ、そのスープで仕上げたリゾット、干しアワビをベースにしたソースが、奥深い味わいを生み出す。下「仙台黒毛和牛ヒレ肉の宮城県産もろみタレ漬け炭焼き 野菜添え」地元醬油蔵のもろみをベースにしたタレに4時間漬け込んだ牛ヒレ肉を、香ばしい炭火焼きに。付け合わせた野菜の多彩な食感が楽しい。東日本大震災後、料理人としての復興支援を模索し、仙台に移住したという「楽・食・健・美—KUROMORI—」の黒森洋司シェフ。今では食材の95パーセントを県内産で賄い、中国料理の技法を駆使し、食材の魅力を最大限に引き出しています。
「仙台は海や山も近く、車で3時間もあればほとんどの食材が揃います。地産地消というと郷土料理や和食を思い浮かべますが、宮城県の食材をより生かせるのは中国料理だと思っています。気仙沼のフカヒレ、南三陸の干しアワビ、干しナマコなど、歴史ある高級乾物の滋味を表現するには、中華が最も適しているからです」
「楽・食・健・美─KUROMORI─」オーナーシェフ 黒森洋司さん(くろもりようじ)1976年、神奈川県出身。広東料理の名店「福臨門魚翅海鮮酒家 二子玉川店」で同グループ初の日本人料理長を経て、2011年に仙台に移住。14年に開店。ゆっくり蒸し上げた“三陸アワビ”に合わせたのは、そのうまみを内包した宮城県産ササニシキのリゾット。広東料理の叉焼をイメージした“仙台黒毛和牛”の炭火焼きには、それぞれ下味や火入れの仕方を変えた県内産の野菜をたっぷり盛り合わせて。宮城の食材が奏でる美味に、選りすぐりの地酒が寄り添い、華を添えます。
Information
楽・食・健・美─KUROMORI─
宮城県仙台市太白区向山2-2-24
撮影/本誌・坂本正行 取材・文/瀬川 慧
『家庭画報』2021年12月号掲載。この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。