いい人に見えるけど、すごい悪人!?
是枝監督がプロットを思いつき、最初に思い浮かんだワンシーンは、神父の格好をしたソン・ガンホさんが赤ちゃんポストに預けられた赤ちゃんを抱き上げる姿だそう。
「彼のお芝居を見ていて、善人も悪人も混在していてどっちにも振れるし、すごくシリアスな映画の中でもどこかちょっと人間のおかしみみたいなものを出してくる軽やかさが一番の魅力だと思っていたので、赤ん坊を抱いて笑っているんだけど、すごい悪人みたいな……。そういうところから思い浮かんだワンシーンです」
最初は是枝監督の頭の中にだけあった、ソン・ガンホさんのそんな姿もスクリーンで観られる『ベイビー・ブローカー』。サンヒョン(ソン・ガンホ)が抱き上げたのは、赤ちゃんポストに預けられたウソン。ウソンを売るために連れ去ったサンヒョンと相棒のドンス(カン・ドンウォン)でしたが、母親・ソヨン(イ・ジウン)が気づき……。そうして、3人とウソンに、児童養護施設で育ったヘジン(イム・スンス)を途中から加えた5人の旅が始まります。ウソンを高く買ってくれる養父母探しの旅が。その5人を、赤ちゃんの取り引き現場での現行犯逮捕を狙う刑事・スジン(ぺ・ドゥナ)と後輩のイ刑事(イ・ジュヨン)が追います。
主演を務めたソン・ガンホさんは、本作を「文字どおりブローカーたちの話でありながら、同時に家族の映画でもあります」と話す。