〔連載〕タサン志麻の田舎暮らし・夏 志麻さん一家が購入した古民家がある静かな里山で、家族5人の新しい暮らしが始まりました。季節ごとの豊かな自然や食材を、志麻さんの視点でお届けします。
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夏はお庭ごはんで元気をチャージ
裏の栗林で流しそうめんを楽しむタサン一家。台や器、箸まで奥の竹林の竹を使って手作りしたもの。
文・タサン志麻
フランス人は太陽の光が大好き。フランスにいたときは寒い冬でも外で読書をしたり、コーヒーを飲んだりする彼らが信じられなかったけれど、こんなに外にいることを気持ちがいいと感じるのは久しぶりで、今ならあのフランス人たちの気持ちがよくわかります。
引っ越した家にはクーラーがなく、暑い夏を乗り切れるか心配していましたが、窓を開け放つと涼しい風が入ってきます。子どもたちは虫かごと網を握りしめ、汗だくになりながら思いっきり自然の中を駆け回り、私たち大人も木陰にテーブルを出して、外で過ごす時間が長くなってきました。
そんな夏のある休日に、ご近所に住む竹細工の名人に、流しそうめんの竹を組んでもらいました。夫・ロマンも教わりながら箸や竹筒も手作りです。
名人に教わり箸作りを手伝うロマンさんと、竹で遊ぶさんちゃん。
猪口の口もとを削って口当たりをよくするロマンさんの器用な手先に注目。
せっかくなのでたくさんの種類のつけつゆや薬味、具材を準備して、みんなでさまざまな組み合わせを楽しみながらお腹いっぱい流しそうめんを食べました。夏の簡単お昼ごはんの代表選手・そうめんも、食べ方次第ではごちそうです。
我が家では夏は冷たいうどんや冷やし中華も、こんな風にいろいろな薬味や具材の組み合わせを楽しめるように工夫します。そうすると、長男は好きなものばかり取っているなとか、次男はチャレンジャーだなとか、家族の好みやくせがわかっておもしろいものです。
手作りのフォークで果敢に流しそうめんに挑戦するさんちゃんと、竹の箸で流れてくるそうめんを上手にキャッチするしんちゃん、しょうちゃん。
夏のお庭ごはんといえばバーベキューが定番ですが、ロマンもフランスで毎週のように楽しんでいたそうです。朝からビールやワインを飲みながら準備をはじめ、食べ終わる頃にはもう夜! なんてこともしばしばだったとか。
私たちはまだ子どもが幼いので、そんなふうにゆっくりとはいきませんが、ロマンに懐かしいフランスの味を聞いてマリネ液をいくつも試してみるのもいいですし、外で焼きながらにぎやかに食べると、ちょっとくらい焼きすぎたお肉もおいしいって思えるものです。
残ったら翌日サンドイッチやサラダの具にすればいいのでついついたくさん準備しすぎてしまい、結局友人やご近所さんに声をかけて、わいわいと楽しむことになります。
お庭ごはんはワンパターンになりがちですが、何品も用意するよりも、つゆや薬味を工夫したり、肉を漬け込むマリネ液を変えたりするだけで手軽に変化をつけられます。太陽の光を浴びながらお試しいただけるとうれしいです。(マリネやバーべキューのレシピは、次回以降の記事でご紹介します。)