〔特集〕スポーツの力で元気に!ニッポンを全力応援(体操編&陸上編) 4年に一度の、感動と興奮の夏がやってくる。前回、0.103点差で2位に泣き、金メダル奪還に一致団結して挑む体操男子団体と、3000メートル障害でメダル獲得を狙う三浦龍司選手をはじめ、箱根から世界を目指す陸上の選手たちを特別取材。いざパリへ!
前回の記事はこちら>>・
特集「ニッポンを全力応援(体操編&陸上編)」の記事一覧はこちらから>>
箱根から世界へ! 大学駅伝で活躍後、仲間たちと高みを目指す
「世界に通用するランナーの育成」を目的に始まった東京箱根間往復大学駅伝競走、通称・箱根駅伝。その大舞台を沸かせ、世界へ走り出した選手たちに会いに行った。
〔10000メートル〕
大八木弘明総監督(駒澤大学陸上競技部)率いる“Ggoat”(ジーゴート)+ トヨタ自動車 陸上長距離部の仲間たち
アスリートファーストで柔軟な対応が光るトヨタ。所属の田澤 廉選手と鈴木芽吹選手は駒澤大学卒業後も、大八木総監督の指導を受けている。
(左から)佐藤圭汰 Keita Sato(駒澤大学陸上競技部+Ggoat)/篠原倖太朗 Kotaro Shinohara(駒澤大学陸上競技部+Ggoat)/田澤 廉 Ren Tazawa(トヨタ自動車陸上長距離部+Ggoat)/総監督 大八木弘明 Hiroaki Oyagi(駒澤大学陸上競技部+Ggoat)/鈴木芽吹 Mebuki Suzuki(トヨタ自動車陸上長距離部+Ggoat)/太田智樹 Tomoki Ota(トヨタ自動車陸上長距離部)
多様な練習環境で、切磋琢磨する日々
ご存じ、駒澤大学陸上競技部の大八木弘明総監督が、2024年4月、日本のトップアスリートを応援、指導する目的で立ち上げたアスリートプロジェクト“Ggoat”。現メンバーは田澤 廉、鈴木芽吹、篠原倖太朗、佐藤圭汰の4選手。
2024年1月1日のニューイヤー駅伝で優勝したトヨタ自動車陸上長距離部(以下トヨタ)の佐藤敏信総監督と大八木総監督が旧知の仲であったことなどから、トヨタ所属の太田智樹選手も期間限定で練習に参加。トップクラスの顔ぶれが揃っている。
大八木総監督の練習拠点、駒澤大学玉川グラウンド。
〔初座談会!〕Ggoat+トヨタ自動車陸上長距離部 所属を超えて共に世界へ!
──太田さんが、期間限定で大八木総監督の練習にも参加するようになったきっかけは、田澤さんだそうですね。太田 田澤がトヨタ自動車陸上長距離部(以下トヨタ)に入社する直前の2023年3月、寮へ挨拶に来たんです。そのときに偶然同じゲームが好きだとわかって。4月にはもう一緒にゲームをしていました。
田澤 なんだかすごくフィーリングが合ったんです! 求める練習内容やレベルも近いですし、お互いいい練習パートナーになれると思って誘いました。
太田 Ggoatのメンバーも僕を受け入れてくれて有難いです。実業団と学生という違いはあっても、高いレベルで切磋琢磨できる。第三者視点で見てもここには日本トップレベルの選手たちが揃っているので、この先、陸上長距離界を引っ張っていってほしいです。それに、多様な練習環境を認めて送り出してくれた、トヨタの上司や同僚たちには感謝しています。だからこそ結果も出さなければ!
田澤 結果といえば、2023年12月の日本選手権で太田さんに負けちゃったのは誤算でした(苦笑)。初めていいますが、直前のアメリカ合宿で太田さんの背中を見て走りながら「やばい、この人強い!」と思っていたんです。でも、今まで自分を超える存在が身近にはいなかったので、同じチームに目指したいと思える選手がいてくれて本当に嬉しかった。
2023年12月の日本選手権で2位の太田選手。写真/長田洋平〈アフロスポーツ〉
スポーツをやっている誰もが憧れる、夢の舞台への挑戦
──今後の目標や夢を教えてください。鈴木 Ggoatというチームに入ったからには、2025年の東京世界陸上、2028年のロサンゼルス五輪は狙っていきたいですし、世界への意識が自然に高まる集団に属しているなと思います。ここぞ、というときに運も必要だと思うので幸運を引き寄せられる生活態度も大事にし、皆に応援してもらえる選手になりたいです。
篠原 学生最後の一年になるので大学三大駅伝でしっかり走り、チームを勝たせてあげたい。いずれはマラソンで活躍したいですが、まずはトラックで。もっと練習量を上げられるようがんばります!
佐藤 怪我をして、大事な試合にピーキングを合わせることの大切さを痛感しています。小さい頃から5000や10000メートルの世界舞台を夢見てきました。さらにスピードと持久力をつけ、トラックを極められるよう挑戦していきます。
太田 記録や順位で2番になることが多いので、何か一つ日本記録を作りたいと思っています。パリ五輪に10000メートル代表で無事出られたとしたら、まず8000メートルまでは先頭集団にいたいですね。
田澤 ここはもう、「入賞目指します!」とかがいいのでは?(笑)
太田 いや〜、日本で1位だとしても5月9日現在の世界ランキングでは25位だから(苦笑)。僕は現実主義者だし、ネガティブに考えたほうがプレッシャーにならないんです。レースの時期は暑いし、記録的にも厳しい大会になるはず。でも、出るからには途中までだとしても先頭集団に食らいついて走りたいです。
田澤 僕にとって、オリンピックはいずれ出場しなければならない大会だと思っています。大学入学当初から大八木総監督が「世界に一緒に行こう」と。世界陸上には行けたので、オリンピックにも連れていってあげたいです。今回の五輪は怪我で代表権争いから外れてしまい、本当に悔しいのですが、でもこれが最後ではない。この先マラソンにも挑戦したいですし、新しい自分の陸上人生も待っている。これからまだまだがんばります!
5選手に一問一答!
2024年5月末、駒澤大学玉川グラウンドにて。(右から)トヨタ自動車陸上長距離部所属の太田選手、田澤選手、鈴木選手、駒澤大学の篠原選手、佐藤選手
田澤 廉
Q 大好きなスイーツ、一人でも食べに行く?
A 一人では絶対に行かない! 何事も感想を分かち合いたいタイプです(笑)。
Ren Tazawa
2000年青森県生まれ。駒澤大学卒業、トヨタ自動車陸上長距離部(以下トヨタ)所属・Ggoatメンバー。2022年・2023年世界選手権10000メートル代表。
鈴木芽吹
Q ゲン担ぎの勝負メシは何かある?
A 「炭焼きレストランさわやか」(静岡)のハンバーグ。日本選手権で3位に。
Mebuki Suzuki
2001年静岡県生まれ。駒澤大学卒業後、田澤選手同様トヨタ所属・Ggoatメンバー。日本選手権10000メートル、2021年3位、2024年4位。
篠原倖太朗
Q 大八木総監督はどんな存在?
A 今、一番信頼している指導者。勘が鋭いので、迷ったらいうとおりにする。
Kotaro Shinohara
2002年千葉県生まれ。駒澤大学陸上競技部主将の4年生。Ggoatメンバー。ハーフマラソン日本人学生記録保持者。夢はマラソン挑戦。
佐藤圭汰
Q 自分で思う、自分の性格は?
A“ アホ”でネガティブ。でも田澤さん曰く「意外にメンタル強い」。案外タフ?
Keita Sato
2004年京都府生まれ。洛南高等学校卒業、駒澤大学3年生。Ggoatメンバー。1500および3000メートルの高校日本記録、5000メートル室内日本記録保持者。
太田智樹
Q 試合前のゲン担ぎは?
A 身の回りの整理整頓。試合前日、部屋やトイレの掃除、散髪などをする。
Tomoki Ota
1997年静岡県生まれ。早稲田大学卒業、トヨタ所属。パリ五輪10000メートル代表最有力候補。ヤクルト陸上競技部所属の太田直希選手は弟。