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デビュー45周年の竹内まりやさん、待望のアルバム『Precious Days』“かけがえのない日々”に込められた思い

2024.11.08

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ハレの日があるからケの日も愛おしい

2021年に亡くなられたお父様は、老舗旅館である「竹野屋旅館」の4代目経営者で大社町の町長も務められた方。お父様の付き添いでさらに絆が深まったご兄弟、「皆には苦笑されますが、私のダジャレ好きは兄譲りですね(笑)」(下のQ&A参照)。

2021年に亡くなられたお父様は、老舗旅館である「竹野屋旅館」の4代目経営者で大社町の町長も務められた方。お父様の付き添いでさらに絆が深まったご兄弟、「皆には苦笑されますが、私のダジャレ好きは兄譲りですね(笑)」(下のQ&A参照)。

── 前作からのこの10年は、どのような期間でしたか?

竹内 10年のタームで、自分にとっての大きな出来事を振り返ってみますね。2014年にアルバム『TRAD』を発表して、4年ぶりのライブとなる全国ツアー『souvenir 2014』を行ったあと、実家である出雲の旅館を引き継ぐ話が出て。私がオーナーになり、社長業は兄の長男が継いだのですが、大々的にリフォームするなど忙しい日々が続きました。今はおかげさまでお客様にもコンスタントにいらしていただける、有難い状況です。2020年から2年ほどはコロナ禍の日々でしたけれど。

── 2021年に予定されていたコンサートは中止になってしまいましたよね。


竹内 7年ぶりの全国アリーナツアーでファンの皆さんとお会いできることをとても楽しみにしていたので、残念でした......。でも、悪いことばかりではなくて。老衰で体調を崩した父の付き添いを、兄弟姉妹6人でシフトを組んで行えたんです。97歳の父は日に日に弱ってはいくものの頭脳明晰だったので、皆それぞれが父と等しく大事な時間を過ごせて。幸せなひとときでした。全員で集まることができたある日、皆で家族のビデオを見ながら、父も楽しそうに笑って「みんな、ありがとう」と。その日の夜は私が当番で父のそばに寝たのですが、「きっと今日が最後の夜になる」という予感がありました。そしてやはり翌朝に、眠るような大往生で天に旅立ちました。

── ツアーが行われていたら、そういう時間は持てなかったと......。

竹内 そうなんです。ツアーをキャンセルせざるを得ず、がっかりしていましたが、父を見送る時間を与えられたことはとても運命的に思えました。

── 笑顔で皆さんと過ごしたあと、穏やかに天国へ向かう。お父様、理想的な旅立ちですね。

竹内 本当に。その後、コロナ禍が進む中、達郎もツアーがなくなったことでアルバム制作に向き合う時間ができ、11年ぶりのオリジナル・アルバム『SOFTLY』を2022年に出せたのだと思うんです。私もいろいろなオファーをいただいたりして書き溜めた曲を今回、オリジナル・アルバムとして集大成させたわけですが、「アルバム作りってなんて面白いんだろう、スタジオで作業している時間が本当に好きなんだ」と再認識しました。もちろん大変でもあるのですが、自分の想いを歌に乗せて皆さんにお届けできることは、私にとってやっぱり生きがいなんです。音楽のおかげで、こうしたハレの日があるからこそ、雑用に追われるケの日も愛おしく思えて楽しめる。そんなふうに、私にとっては創作とプライベートのバランスがとてもいい10年でした。

心を平らにする意識を持つことが大切

「皆さんからいただいたエネルギーを歌に乗せてお返しし、また……という循環で、気がついたら45年が過ぎていました」と笑う竹内さんですが、この夏は若者たちのエネルギーに感動!「大社高校野球部の奮闘にパリ五輪での体操男子決勝の逆転金メダル! そしてロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平選手は日本の宝。皆、誇らしいです」

「皆さんからいただいたエネルギーを歌に乗せてお返しし、また……という循環で、気がついたら45年が過ぎていました」と笑う竹内さんですが、この夏は若者たちのエネルギーに感動!「大社高校野球部の奮闘にパリ五輪での体操男子決勝の逆転金メダル! そしてロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平選手は日本の宝。皆、誇らしいです」

「私の言葉や歌が誰かの癒やし、力になれば、それが私の癒やし」── 竹内さん

── どのような心持ちで向き合えば、悲しいことや大変なこともニュートラルに受け止められるのでしょう?

竹内 辛くても乗り越えないと、人生が進んでいかないですものね。これは私の性分でもあると思うのですが、何か悲しいことや腑に落ちないことがあると、一回その事態を客観視する。心を平らにするといいますか。達郎は「平常心」という言葉が一番好きだといっていますが、平常心を保てないから人は悩むわけですね。私は幼い頃から、渦中にいるときでももう1人の自分が自分を俯瞰して見ているタイプだったので、ワンクッション置くと辛さが半減するんです。それと、心を平らにするのに役立っているかなと思うのは、毎朝毎晩行う10分ほどの瞑想。ライブの本番前も少しだけ瞑想して、心静かに整える時間を持つようにしています。

── 瞑想、やってみます。

竹内 困ったときに相談に乗ってくれる人たちの存在も大きいですよね。年老いてゆくことは自然の摂理で、日々の終わりは誰にも平等に訪れますが、いろいろなことを分かち合える家族や親友たちとの別れが来ることはやっぱり辛い。でもそれが人生、だからこその「Precious」な日々だと思うのです。世界情勢や自然災害などを考えると、不安も多く悩める時代の今、自分の言葉や歌がほんの少しでも、誰かの、何かの力や癒やしになっているとしたら、それこそが私にとっての癒やしです。力といえば! この夏は母校・島根県立大社高等学校の甲子園での活躍に、本当に勇気と感動をもらいました。

── 93年ぶりのベスト8でしたね!

竹内 大社高校の卒業生であることをこれほど誇りに思える日が来ようとは(笑)。選手たちの素晴らしさはもちろんですが、監督さんとの絆や応援団の一体感にもグッときました。パリ五輪も観ていましたが、わずかな差でも勝ち負けがつく厳しい世界だからこそ、たくさんの感動をもらいました。普段は人生の先輩方に励まされることが多いのですが、大社高校野球部の選手たちがひたむきに頑張る姿を見て、自分の故郷にこんなに気持ちのいい若者たちがいるんだということに本当にパワーをいただいて。この清々しい若者たちを育てたのは大人であって、その大人たちを育てた大人がいて......と思うと、日本の未来に少し希望が持てるようにも感じた夏でした。

── その感動が、作品制作につながる可能性もあるのでしょうか。

竹内 『静かな伝説(レジェンド)』はそうでしたね。ソチ五輪でのフリースケーティングで浅田真央さんが見せてくれた完璧な演技と涙と微笑みが、あの曲を書かせてくれたのだと思っています。今回の高校野球やパリ五輪でアスリートたちから伝わってきた、努力のあとや葛藤や、仲間同士の絆に感動したことも、自分の中に何かが深く残るはず。そういうことが循環していくのでしょうね。もらったエネルギーを歌に乗せて返して、またいただくというような。

── この先への想いや計画がありましたら、お聞かせください。

竹内 家族と共に過ごす何げない生活を日々楽しみながら、末長く元気に、自分らしいと思える音楽を作り続けていきたいと思います。具体的な目標としては、2025年4月から全国ツアーの予定が! ツアーキャンセルのリベンジをようやく果たせそうです。アルバムもツアーも長らくお待たせしてごめんなさい。でも、私の想いがたっぷり詰まったアルバムになりましたので、ぜひ聴いていただければ嬉しいです。ライブ会場でお会いできることを心から楽しみにしています。

撮影/五十嵐隆裕〈SIGNO〉 スタイリング/斉藤伸子 ヘア/松浦美穂〈Twiggy.〉 メイク/COCO〈関川事務所〉 取材・文/小松庸子

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