知っておきたい女性のからだと健康 第2回（2）鏡を見たり、体を触ったりしたときに、ふと気になる肌の調子。皮膚科に行こうかどうしようか迷うことも多いでしょう。幅広い年代の女性の肌を診察し、治療している野村皮膚科医院の野村有子先生に、起こりやすい肌トラブル、年代別のスキンケアや入浴の留意点などについて伺います。
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「肌の悩み」
年齢による肌の変化を知っておく。肌は体調を映す鏡。睡眠や入浴、食事などを含めたトータルなケアを
［お話を伺った方］
野村皮膚科医院 院長
野村有子先生
のむら・ゆうこ 慶應義塾大学医学部を卒業後、同皮膚科学教室に入局。水疱症や膠原病などの免疫疾患や皮膚がんの研究に携わる。その後、神奈川県警友会けいゆう病院皮膚科に勤務し、皮膚の多様な病気の診断や治療を行う。1998年横浜市内に野村皮膚科医院を開業。2003年に市内で医院を移転し、アレルギー対応モデルルームやアレルギー対応カフェを併設。臨床試験にも積極的にかかわっている。
皮膚が未熟な3歳まではスキンケアを大切に
皮膚のメカニズムの解明が進むにつれ、子どものスキンケアにも注目が集まっています。
「3歳くらいまでのスキンケアで一生の肌の状態が決まるといわれるくらい、乳幼児期の肌の手入れが重要視されるようになりました」と野村先生。
乳幼児期は皮膚が未熟で皮膚のバリア機能が弱いという特徴があります。「かつて食物アレルギーは食べたものから起こると考えられていましたが、口の周りなど皮膚についた飲食物の成分が皮膚の角質層から入り込んでアレルギーを起こすことがわかってきました」。口の周りに飲食物がついたら、その都度ガーゼや柔らかいタオルを水で濡らして絞り、そっとぬぐって保湿するのがよいそうです。1歳くらいまではワセリンや肌なじみのよい乳液などで保湿し、乾燥や発疹がひどければ診察を受けましょう。
また、汗を出す汗腺の数は一生ほぼ変わらないと考えられています。乳幼児は体表面積が小さい分、汗腺の密度が高く、汗をたくさんかくので、「汗はこまめに拭いたり、洗い流したりする必要があります。冷房の効いた部屋で長く過ごすと汗腺が発達しにくいため、熱中症に気をつけながら、外気に触れて汗をかくことも大切です」。
学童期になると皮膚の構造はしっかりしてきますが、まだまだ大人の皮膚ほどは丈夫になっていません。野村先生は、子どものメイクや髪のおしゃれ染めについて、「七五三など特別なときにはかまいませんが、やはり皮膚は未熟ですから、化粧品は皮膚にとって負担になり、アレルギーを起こす可能性が高まります」と話します。
皮膚の構造
皮膚は、外側から、表皮、真皮、皮下組織の3つの層に分かれている。表皮は4層からなり、最も内側の層でつくられた細胞が徐々に移動して外側の角質層となる。角質層の厚みは部位によって異なり、手のひらや足の裏が最も厚い。紫外線を受けるとメラニン色素をつくるメラノサイトは表皮の最下層にある。真皮には、毛をつくって守る毛乳頭や毛包、皮脂腺（皮脂は毛穴から分泌される）、汗腺、血管や神経などがある。皮下組織の大部分は脂肪で、体温を保ち、エネルギー代謝を担うと同時にクッションとしても役立っている。このような構造は3歳くらいまでは未熟で、思春期以降にほぼ完成する。一方、年齢を重ねるにつれて細胞の入れ替わりがうまくいかなくなり、皮膚が薄くなる。皮脂の分泌量も減少する。
