誰も否定されない映画。皆が肯定され、個が認められる世界
教師である青治は自宅だけではなく、学校にも亡き母の洋服で出勤。自宅では弟・翠(笠松 将)がごく当たり前のように父と和生、ダリアと接し、青治が暮らす島の人たちもとりたてて気にする様子もなく……。ふくだ監督いわく、「この映画では、否定が出てこなくて、肯定だけ」。しかし、実生活では「肯定って難しいですよね。私もできていると思ってないです」とふくだ監督。それでも、「肯定する人、“なんでもええやん”って言える人でいたいです」。
「映画監督になるなんて言うて、反対する親もきっといるんやろうなと思うんです。でも、父なんて“おぉ! ええやん。やり、やり”みたいな(笑)。母も母で、“あ、そうなんやぁ”みたいな感じで。ほんまに誰にも、友達にも学校の先生にも誰にも否定されたことがないんですよね。そうやってやさしくしてもらっていたんだな、当たり前に私の周りはそうだったんだなって。だから、当然のように映画監督に私はなるんだって思っていたし、やっぱり周りの人がめちゃくちゃ大切。否定する人が周りにいたら、すごく否定的な気持ちになってしまう。自分のことを好きになれなくなっちゃう。一番しんどいなと思います」
帰郷した橙花と“家族”がすき焼きを囲む。ふくだ監督がこだわったシーンの一つが食事だそう。食べ方で個性が見え隠れする演出も。