リキュールグラスに黒豆寒天を入れ、金箔をのせて前菜に。銀彩で竹柄が描かれた京焼のティーポットは屠蘇器に、小さな筒型の茶碗は杯として使った。Tips2
銀器で光を感じさせ、縁起の良いアイテムで晴れやかに
白いテーブルクロスの上に、松と蘭のアレンジを置いたら、棚から出した銀器をセッティング。「お正月らしく、白の世界に銀器で光を加えるイメージです」と、多美保さん。
各席に置かれたシャープなデザインのトレーとフルートグラス、黒豆寒天をのせたトレーやデザートスプーン、竹柄のミニトレーはフランスの銀器ブランド「クリストフル」製。長年かけて、多美保さんが少しずつ集めたものです。ピカピカに磨き上げられた端正な輝きで、テーブルがパッと晴れやかになりました。
「歳神様が来訪するための依代を意識して、ナプキンは“扇貝”という末広がりの扇型に畳みました。銀器やガラス素材で、見通しよく輝きのある一年への願いを込めて。箸置きも、鯛やレンコンといっためでた尽くしのモチーフです」。お正月を寿ぐ気持ちがぎゅっと詰まったセッティングです。
ガラス作家・河上恭一郎さんのスタッキングできる四角いガラス器に合わせ、漆芸家の土井宏友さんに依頼して錫蒔地で蓋を作ってもらった小さな個重Tips3
テクニックいらずで盛り付けらる個重スタイル
お正月料理はシャンパンと共に楽しむのが恒例となっている多美保さん。「和食器の中でも高さのあるお重は、フルートグラスともバランスが良く、お正月気分を盛り上げてくれます。ぎっしりと端正に料理が入った状態こそが美しい大きな重箱は、詰めるのに高度なテクニックが必要ですが、めいめいで使うサイズの小さな個重なら、ずっと簡単にきれいに料理を盛ることができます」。
さらに、ゲストの一人が遅れてくるといったシーンでも、蓋つきでめいめいに分かれている個重は重宝します。多美保さんが作るお正月料理の中でも特におすすめなのが、塩抜きした数の子を、オリーブオイルとにんにく、ローズマリーやタイムなどの好みのハーブとマリネした一品。仕事を通じて親しくなった料理研究家の久保香菜子さんのレシピで、シャンパンとの相性も抜群。恒例で作っているそうです。