軽井沢安東美術館は“家族の記念碑”
会社経営のプロである安東さんですが、美術館経営は人生初の試み。いろいろとご苦労があるそうです。それでも、あえて難しい道を歩んだ背景には、軽井沢安東美術館は安東さんご夫妻にとって、“家族の記念碑”であるという強い想いがあります。
そして、コレクションを公開することで藤田の魅力を多くの人々に知っていただきたい、という情熱があるのです。展示替えをしながら収蔵している作品を、余すところなく公開していくお考えです。
ところで、安東さんには音楽愛好家というもう一つの顔があります。進境著しい若手演奏家に楽器を貸与したり、美術館の「サロン ル ダミエ」では定期的に演奏会が行われています。
ご夫妻が“わが家のリビング”と位置づけるサロンには、1899年製造のスタインウェイが。ミュージアムピースともいうべき名器を実際に演奏でき、プロの演奏家にとって貴重な機会となっているのです。
安東邸ともいうべき美術館で藤田嗣治のアートに触れ、サロンで音楽に親しむ。心豊かになる軽井沢で最も新しい芸術空間、おすすめです。
美術館の新たな主役猫の教室
1949年 油彩・キャンバス
77.0×102.0cm
コレクターだからこそ魅力を発信し続けたい
オークションなどでの値付けの高さがその価値を端的に表すなど、世界的に高く評価されている藤田嗣治。とはいえ、日本では未だその魅力に気がついていない人も多い。安東さんご夫妻は唯一無二の美術館のオーナーだからこそ、魅力を伝えたいと発信をし続けている。
左・新収蔵品を含め、猫作品が大集合!『藤田嗣治 安東コレクションより 猫の本』ISBN978-4-418-23212-3 定価:本体2,600円+税
右・館蔵品の公式総合ガイド『藤田嗣治 安東コレクションの輝き』ISBN978-4-418-22222-3 定価:本体2,900円+税 いずれも世界文化社刊 Information
軽井沢安東美術館
長野県北佐久郡軽井沢町軽井沢東43-10
- 2022年10月にオープンした、世界でも初めての藤田嗣治作品だけを展示する個人美術館。美術館にはコレクター安東泰志さんの「眼」を通して蒐められた藤田作品が約200点、収蔵されている。蒐集の出発点となった「猫」と「少女」の絵を中心に、初期のものから晩年の宗教画まで、広範に藤田作品を網羅し展示するかつてない美術館である。
〔特集〕新「軽井沢」で楽しむ夏
●『家庭画報』2023年8月号 “新「軽井沢」で楽しむ夏特集を記念し、特集内でご紹介した軽井沢コモングラウンズ内にある「軽井沢いぶる」のギフトセットが当たるプレゼントキャンペーンを開催中です。ぜひ、ご参加ください!
詳しくはこちら>>> 撮影/本誌・坂本正行 企画協力/軽井沢安東美術館
『家庭画報』2023年8月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。