泰然自若、鷹揚――。10代の頃から些細なことには動じない大物感が漂っていた宇野昌磨さん、26歳。長年、世界のフィギュアスケート界を牽引し続けてきたが、2024年5月14日、現役引退会見を開き、プロフィギュアスケーターとなった。その道はこれからどんな世界へと向かうのだろう。特別取材でお聞きした、宇野さんならではの真っすぐ心に響く言葉の数々をお届けする。
フィギュアスケートの世界で頂点を極め、現役引退。そして今、新たな道へ
【スケートと出合えたから、今の僕がある】少し緊張の面持ちでカメラの前に立った宇野さんだったが、次第に自然な笑顔も出るように。レンズ越しに対峙したカメラマンの宮崎さん曰く、「柔らかな表情の中にも凜とした眼差しがあり、さすが世界のトップを走り続けた方だと思いました」。タキシード（ジャケットとパンツのセット）60万円 シャツ11万円（ともに参考価格）靴15万4000円／すべてディオール（クリスチャン ディオール）
トップ選手に届かずに終わると思ったことは一度もなかった（宇野昌磨さん）
【好きなものを極める究極のこだわり派？】ファッションへのこだわりをお聞きすると、「無頓着です（苦笑）。実は僕、同じシャツの色違い3着しか持っていなくて。洗濯してもしわになりにくいのが気に入ってそれぞれを何枚も買っています」。ブレなさもトップクラスだ。Tシャツ10万円 タキシードのパンツ（ジャケットとのセット価格）60万円／ともにディオール ブレスレット（イエローゴールド）115万円（ホワイトゴールド）125万円 リング（イエローゴールド）38万5000円／すべてディオール ファイン ジュエリー（すべてクリスチャン ディオール）
特別インタビュー 宇野昌磨、26歳。その素顔
【すでに悟りを開いている？人を惹きつけるその人間力】質問すべてに誠実に柔らかく答える宇野さん。関係者の皆さんも「穏やかに皆をまとめる力がある」と語る。『ワンピース・オン・アイス』では誰よりも早くすべてのセリフを覚えてリハーサルに臨み、背中で皆を牽引した。
競技への情熱を支えた憧れのスケーターたち
――今日は2018年1月号で羽織袴をお召しいただいて以来の、ファッション撮影でした。いかがでしたか？宇野さん（以下、宇野） この手の撮影は得意分野ではなくて（苦笑）。でも、何度か経験させていただいているうちに少しずつ慣れてきたかなと思います。日光アレルギーがあって普段は長袖なので、半袖Tシャツが新鮮でした。僕の体に合うサイズの服は少ないのですが、フィットして着心地がよかったです。
――タキシードもお似合いでした。まずは現役引退、本当にお疲れ様でした。24年5月14日の引退記者会見以降は、どのような毎日を過ごされているのでしょう？宇野 あまり変わりません。夜更かしして、昼過ぎに起きるという生活が続いています。
――練習はどの程度されていますか？宇野 6月はアイスショーがなかったので、感覚を失わないよう、週3回氷にのる程度でした。ショーの練習が始まったら、ずっとリンクにいることになるとは思いますが。
――現役時代への想いはいかがですか？宇野 試合に対する名残惜しさはまったくないです（笑）。やりきりました。23年3月に行われた世界選手権で連覇したとき、嬉しさ以上に安堵の気持ちが強かったんですよね。「やっと、これで日々の練習からしばらく解放される」という心境になって……。それまでそんなことはまったく思わず、上だけを見てもっと成長したいと走り続けてきたのですが。
目標であり憧れだったネイサン・チェンさんとゆづくん（羽生結弦さん）が、それぞれ学業への復帰、プロフィギュアスケーターへの転向で試合にいない状況が競技へのモチベーションにこんなにも影響するのかと。想像していた以上に、2人に支えられていたことに改めて気づかされました。
