手塚貴晴さん、由比さん(手塚建築研究所)
アントニン・レーモンド設計の「
軽井沢聖パウロカトリック教会」は、丸太を組んだ、実に謙虚な教会です。
軽井沢町唯一のカトリック教会。日本の近代建築を牽引したアントニン・レーモンドの設計で1935年竣工。高い評価を受けている名建築。©大泉省吾
飾り一つないのに無限の宇宙の深みを湛えています。場と時代にもふさわしい建物があることの大切さを教えてくれます。
そのほか…聖ヴィンセント教会(クロアチア)、アーヘン大聖堂(ドイツ)、ホーリー・トリニティ教会(スロべニア)、ノートルダム・ド・セナンク修道院(フランス)、コロニア・グエル教会地下聖堂(スペイン)軽井沢聖パウロカトリック教会住所:長野県北佐久郡軽井沢町軽井沢179
TEL:0267(42)2429
中村拓志さん(NAP建築設計事務所)
五島列島・若松島の南西端に位置する「
キリシタン洞窟」の近くにある断崖の一部「
ハリノメンド」は、荒波の浸食によってできた穴で、漁師がその離島の海食洞窟の隙間から差し込む光に聖母マリアと幼子イエスの姿を見出し礼拝に通ったと伝えられており、極めてプリミティブな教会といえるでしょう。
キリシタン洞窟若松島の南西端の断崖。「五島崩れ」の際に、3家族がこの洞窟に逃げ隠れた。陸地からは行けず、クルーズツアーなどで海上から見ることができる。近くには岩場に開いた穴が聖母子像のように見える「ハリノメンド」(針の穴)も。©KAMIGOTO
そのほか…軽井沢聖パウロカトリック教会(長野)、ブラザー・クラウス野外礼拝堂(ドイツ)
藤森照信さん(建築史家・建築家)
「
東京カテドラル聖マリア大聖堂」は、打ち放しコンクリートによる、戦後の世界最高のキリスト教会。この教会で眠るため、丹下は家伝の神道を離れ、キリスト教に改宗しています。
スペインのオビエド近郊の世界遺産「
サンタ・クリスチーナ・デ・レナ」は、その昔、山里の敬虔な信者である農民たちが、畑を開墾して出た小さな石を一つ一つ積み上げて造ったというキリスト教会建築誕生にまつわる伝説が本当だと思ったのはこの一作だけです。
村上晶子さん(明星大学副学長・村上晶子アトリエ主宰)
ドイツの「
ネヴィゲスの巡礼教会」は、カトリックの第2バチカン公会議の典礼の在り方を顕現しています。
ネヴィゲスの巡礼教会20世紀を代表するドイツ人建築家、ゴットフリード・ベームの代表作といわれる教会。1968年竣工。©Alamy〈amanaimages〉
コンクリートとスチール、伝統的な工芸やエレメントの調和が美しいです。ベームのスケッチによるバラのステンドグラス、床のタイル模様や、透明感のある細い脚の椅子など、荒々しさと優しさが混在するようです。聖堂に向かってなだらかに段々を上がる外部空間はアルプスの山々を彷彿させ、一度訪れたら忘れることができません。
そのほか…カトリック与那原教会(沖縄)(
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