〔特集〕神々の気配を感じる 聖地・開運の地へ 聖地神の臨在を感じさせる場、神に祈りを捧げる場は、常に霊験あらたか。新しい一年が生まれる正月を機に、心新たに神々のもとを訪ね、深い感謝と祈りを捧げることで開運を祈願します。
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2025年の運を開くために、知る人ぞ知る“本物の聖地”へ足を運んでみませんか。聖地の第一人者、植島啓司さんに聖地の条件とおすすめの地を挙げていただきました。
宗教人類学者 植島啓司さんに聞く
神の気配を感じさせる本当の聖地16
多くの人が御利益を求めて訪れる神社、仏閣などの聖地。まず聖地とは、どういう場所を指すのかを伺いました。
「聖地には、2通りあります。“神の臨在を感じさせる場所”と“神に祈りを捧げる場所”です。有名な社殿へ願い事をしに行くのは後者。そこは、観光地的な要素が強いもので、本来の聖地とは違うものです」と植島さん。
では、神を身近に感じる本当の聖地はどのような場所にあるのでしょうか。
「自然条件がよいところはどこでも聖地たり得るのですが、なかでも神の降臨した場所など特別に宗教や歴史・習俗と結びついている地が聖地です。足を運びにくく、山頂にある奥宮のようなところが多いのが特徴です。不便なため、今は参拝者が減っていて、隠された聖域のようになっています。伊勢神宮に元伊勢、宇佐八幡宮に元宇佐、長谷寺に瀧蔵、室生寺に龍穴があるように、聖地が現在の場所に決まるずっと前に別の場所が聖地として信仰の対象になっていたところもあります。
“石(岩)”があるのも聖地の特徴の一つ。石は神が降臨する場所でもあり、死者を鎮護する役割がある神聖なものだからです。本当の聖地は、街中にはなく、誰もが神がいると思っているところにも神はいません。自然災害によりもとある場所から、安全な現在の地へ遷移された神社仏閣などは、その一例でしょう。何もないようなところこそ、本物の聖地であることが多いですね」
下記に紹介した16の神社仏閣は、実際に植島さんが日本全国500社以上を訪ねたうえで、聖地の条件を満たし、神の存在を感じた場所ばかり。
「神の気配は、マイナスイオンのように空気がピリッとした心地よい感覚です。聖地は神を含めて目に見えないものすべてに秩序を与え、自分の能力を超えたものをすっぽりと包み込み、幸福感を与えてくれるものとの出会いの場であるともいえると思います」
最後に、植島さんは聖地を訪れる際の大切な心構えを教えてくれました。
「基本は、敬愛の情を持つこと。昔は、聖域に入る際には靴を脱いでいたぐらいです。そして、願うばかりではなく神に深い感謝を捧げるために出かけてください。その結果、真摯な姿を見た神が開運に導くのだと思います」
1.忍路(おしょろ)環状列石【北海道・小樽市】
約3500年前、縄文中期から後期にかけて作られたもので、小樽から余市にかけて見つかっている80以上の環状列石(ストーンサークル)の一つ。緩やかな斜面に南北33メートル、東西22メートルの楕円形に石を配した遺構で、集団墓地説が有力。「意外性があって、素朴な姿が魅力」(植島)。
〔行き方〕
(1)JR蘭島駅から徒歩約20分。(2)JR小樽駅からバスで約20分の忍路下車後、徒歩約7分。(3)小樽塩谷ICから車で約10分。
2.大湯(おおゆ)環状列石【秋田・鹿角市】
約4000年前、縄文後期の大規模な遺跡。野中堂環状列石と万座環状列石を主体とし、石をさまざまな形に組み合わせた二重の配石と、日時計の石組みがあるのが特徴。「集団墓地説が有力ですが、ただの墓地というより死者を葬る背景にある霊的なものへの考え方の表れのようで興味深い」(植島)。
〔行き方〕
(1)JR鹿角花輪駅からバスで約35分の大湯環状列石前下車後、タクシーで約25分。(2)JR十和田南駅からタクシーで約15分。
3.湯殿山(ゆどのさん)【山形・鶴岡市】
出羽三山の一つ(他は月山と羽黒山)で、山岳修験の霊山。湯殿山神社本宮は三山すべての奥宮とされている。ご神体はピンクがかった赤褐色の岩で、上部から温泉が流れる岩を裸足で上がる。ご神体のある場所は撮影禁止。「ひたすら謙虚な気持ちで祈る本来の信仰の形が体験できます」(植島)。
〔行き方〕
JR鶴岡駅から仙人沢駐車場までタクシーで約55分。駐車場からは参拝バスで約5分。
※11月上旬から5月下旬まで閉山。