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米倉涼子さんの「気になる医学」山中伸弥教授/iPS細胞、その夢と希望。父への想い

2020.12.17

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「あの頃、iPS細胞があったなら今も父に会えているかもしれない」── 米倉さん

米倉さんと山中教授

「2020年はかなり新型コロナウイルスに攻められましたが、そろそろ逆転したいです!」(山中先生)。「感染予防を心がけた新常識のもと十分に注意しつつ、一歩を踏み出したいです」(米倉さん)。
〔米倉さん着用衣装〕アウター40万3000円 シャツ15万4000円 パンツ21万6000円/すべてザ・ロウ(ザ・ロウ・ジャパン) ピアス1万2700円/スワロフスキー・ジュエリー(スワロフスキー・ジャパン コンシューマーサービス) 靴9万5000円/セルジオロッシ(セルジオ ロッシ カスタマーサービス)

米倉 今日、山中先生からiPS細胞のお話を伺って、父のことを思っていました。私は05年に父を肺がんで亡くしているんですね。57歳でした。もし、その頃にiPS細胞があったら、今も会えているかもしれないと。

山中 そうでしたか。肺がんでしたら、今はiPS細胞の前に、京都大学の本庶 佑先生のご研究からできたオプジーボという免疫を強くする薬がありますので、確かに今なら違う展開になっていたかもしれないですね......。


米倉 山中先生は、お父さまが亡くなられた58歳になられたんですね。

山中 もう、その年なんだと思うと感慨深いです。逆に、いつ人生が終わるかもわからないから、今できることは今しよう、先延ばしにするのはやめよう、という気持ちも強くあります。それには父の死もですが、平尾誠二さんという、大人になってからできた親友を16年にがんで亡くしたことが大きく影響しています。進行がんが判明した途端、いきなり余命1年になってしまい......。その意味では結構焦りもあります。iPS細胞だけではなく医学研究が実際の薬になり、皆さんに行き渡るには20〜30年かかってしまうので。やはり厳正な検証が必要ですから。

視点を変えて、プラスの発想で生き抜く!

米倉 新型コロナウイルスで日常が一変し、対談もオンラインで行う状況なわけですが、その中でもプラス面や新しい気づきは何かありましたか?

山中 僕はアメリカのサンフランシスコに第2の研究活動拠点がありまして、13年もの間、毎月往復していたのですが、新型コロナウイルスの影響で3月から行けなくなってしまったんですね。仕方なく、現地の研究員たちと2週間に1度オンライン会議をしているのですが、これが話が弾むんです(笑)。時間も決まっているから無駄なく進むし、誰かがうとうとする間もない。全員の顔も一度に見られますしね。アメリカに研究室を持って13年、コロナ禍でもよい状態を保っています。

米倉 面白いですね(笑)。私は英語とスペイン語を家庭教師のかたに習っていたのですが、今は対面が難しいのでオンラインで勉強しています。

「片時も立ち止まらず、研究は日々着実に進んでいます」── 山中先生
「語学のオンラインレッスンを頑張っています」── 米倉さん

山中 素晴らしいです。この新型コロナウイルスが落ち着いたら、いつかぜひハリウッドに進出なさってください!いろいろなことが不自由になってはいますが、その間も私たちは片時も立ち止まらず、日々着実にiPS細胞の研究を進めています。この2020年4月には研究所の一部を公益財団として独立させ、企業との連携を強化しました。

米倉 期待しております!

●山中さんがコロナ禍で始めたこと

オンライン会議の様子

「新型コロナウイルスの影響により、週の半分が在宅勤務なのでオンライン会議続きですが、皆の顔も見え、効率もよく快適です!」


京都大学iPS細胞研究所(CiRA/サイラ)

京都府京都市左京区聖護院川原町53

TEL0120-80-8748(iPS細胞研究基金 資料請求専用フリーダイヤル)<受付時間平日9時〜17時
  • 京都大学iPS細胞研究所(Center for iPS Cell Research and Application、略称CiRA)は山中伸弥所長のもと、2010年4月1日に設立されました。iPS細胞技術を良心的な価格で、全国の医療機関に提供する橋渡し機能を確立、充実させるため、20年4月公益財団法人京都大学iPS細胞研究財団(iPS財団)を新たにスタートさせました。研究基金への寄付を常時募集中です。 CiRAのロゴ

    「CiRA」のロゴ。iPS細胞の基礎研究、応用研究を行い、「再生医療の実現に貢献する」ことを理念としています。

    オンラインで開かれたシンポジウムの様子

    2020年9月12日、オンラインにより開催されたJT生命誌研究館と京都大学iPS細胞研究所共催のシンポジウム。今回の対象は高校生でした。


米倉 涼子(よねくら・りょうこ) 米倉さん

1975年8月1日生まれ。神奈川県出身。B型。5歳から15年間クラシックバレエを習う。2012年にスタートし、現在第6期まで放映された『ドクターX 〜外科医・大門未知子〜』は米倉さんを想定したあてがきによるもの。同年ミュージカル『CHICAGO』にてNYブロードウェイデビュー。17年、19年と3度の主演を果たす。『ブラック・ウィドウ』(ブラック・ウィドウ役スカーレット・ヨハンソンの吹き替え)は21年4月29日公開。Netflixのオリジナル・ドラマシリーズ『新聞記者』(主演・松田杏奈役)は21年配信予定。
●特技/クラシックバレエ ●趣味/舞台鑑賞。英語、スペイン語の勉強 ●座右の銘/「万里一空」

『家庭画報』2021年1月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。

撮影/鍋島徳恭 スタイリング/野村昌司(米倉さん) ヘア&メイク/奥村清一(米倉さん) 取材・文/小松庸子 取材協力/京都大学iPS細胞研究所

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