「感染症医として大切なのは知識や経験に捉われず、その事実に向き合うこと」 大曲先生
大曲先生いわく「嵐は過ぎ去ったけれど、傷口は大きかった」という第5波。誰かがやらねば!と自分に発破を掛け、感染症対策に取り組んでいます。
何より大切なのは換気とアルコール消毒
米倉 それで感染が判明すると、自宅待機になることもあるわけですよね。自宅にこもっているということはその空間にウイルスはあるわけで......。家庭でできる感染対策をお聞きしたいのですが、私はできる限り感染を予防したくて、抗菌スチーマーにスプレー、アルコールでの拭き取り、空気清浄機といろいろ取り入れているんですね。何をするのがおすすめですか?
大曲 感染には2パターンありまして、空気から感染するルートと、目や口を触ったりして感染してしまうルートがあるんですね。接触感染の予防には消毒薬を使うやり方もあるわけですが、空気中に浮いているウイルスに対して一番いいのはなんといってもやはり換気なんです。除菌、殺菌の技術もいろいろ開発されていますが、換気していないと結局はウイルスが残ってグルグル回っている状態なので。
米倉 インフルエンザなどに感染してゴホゴホ咳き込んでいるときって、周りの人たちにうつさないようドアも窓も閉め切っていますよね。窓を開けて換気したほうがいいんですか?
大曲 間違いなく、換気したほうがいいです。程度の問題ですが、窓から流れ出たウイルスで外にいる人が感染することはその量と濃度では考えにくいので。換気といえば先日、早稲田大学建築学科教授の田辺新一先生(日本建築学会会長)からお聞きしたのですが、キッチンのレンジフードがエアロゾル対策に有効なんだそうです。
米倉 ということは換気扇を回していればいいということですか?
大曲 そうそう。窓を10センチほど開けておいてレンジフードや24時間換気システムを使うことで、効果的な換気ができると。併用すれば部屋の空気中のウイルス量を減らせるのだそうです。
米倉 皆さん“強”で使用してすごい音になりそう(笑)。アルコールと石けんではどちらを推奨されますか?
大曲 アルコールです。水と石けんよりはアルコールのほうが相対的に手荒れしにくいので、世界的に医療現場ではアルコールに切り替えたんですよね。
「コロナ禍の今、『ドクターX』を作るにあたり、新型コロナウイルスを真摯に受け止めて作品に反映させるべき、という関係者皆の想いがありました」と米倉さん。トップス67万1000円(参考価格) ジャケット46万2000円 パンツ12万6500円 靴18万1500円 ネックレス/12万1000円(参考価格) すべてサンローラン バイ アンソニー・ヴァカレロ(サンローラン クライアントサービス) ピアス1万8480円/セシル・エ・ジャンヌ(セシル・エ・ジャンヌ青山店)
「前作のテーマが感染症で痛感した医療現場の大変さ。感染対策、さらに真剣です」米倉さん
米倉 大曲先生はなぜ感染症を専門に選ばれたのですか?
大曲 僕は内科の医者志望だったのですが、研修先の聖路加国際病院に師匠となる古川恵一先生という感染症の専門医がいらして。習っているうちに、これはこの先世界的に大切になるぞと感じたんです。感染症は適切な時期に適切な治療ができれば、劇的に回復することもある。研修医時代で一番心に残っているのが、ほとんど亡くなりかけていた人が元気になって退院していった姿なんですね。やっぱりそれかな。
米倉 この前の『ドクターX』では新型コロナウイルスに感染した医師役の野村萬斎さんを手術するシーンがあったのですが、感染症対策でつける医療用のマスクとガウンが本当に苦しくて! 息をするのも困難な中で、速やかに処置をしなければならない医療従事者の皆さんがいかに大変か、ということを改めて感じました。